- 2階に行くのが億劫で、生活スペースが1階だけになってしまった
- 手すりにしがみつかないと階段の上り下りができない
- 階段で足が上がらず、つまずきそうになってヒヤッとした
このような悩みにより、階段が登れないと感じている高齢者の方は少なくありません。 階段は平らな道を歩くよりも高い筋力とバランス能力を必要とするため、足腰の衰えが最も顕著に現れる場所です。
しかし、もう歳だから、危ないからと階段を使わずにいると、必要な筋力がさらに低下し、最終的には平地の歩行さえ困難になってしまう可能性があります。
大切なのは、安全な環境で、階段昇降に必要な筋肉と感覚を取り戻すリハビリを行うことです。 わざわざリハビリ施設に通わなくても、自宅にある椅子や階段の1段目を使って、効果的なトレーニングを行うことは十分に可能です。
この記事では、階段が登れない悩みを解消するために、自宅で今日から始められる安全なリハビリ運動をご紹介します。 焦らず少しずつ、自分の足で上れる自信を取り戻していきましょう。
階段が登れなくなる主な原因は筋力とバランス
なぜ以前は駆け上がれていた階段が、こんなにも辛くなってしまったのでしょうか。主な原因は大きく分けて2つあります。
太ももとお尻の筋力低下
階段を登る動作には、以下の2つの力が必要です。
- 足を持ち上げる力(腸腰筋・太もも前側)
- 体を上の段に押し上げる力(お尻・太もも全体) これらの筋肉が衰えると、足が十分に上がらずにつまずいたり、体を持ち上げられずに手すりに頼りきりになったりします。
バランス能力と視覚機能の低下
階段は片足立ちになる瞬間があり、平地よりも高度なバランス能力が求められます。 また、加齢により段差の遠近感がつかみにくくなると、足の踏み場に不安を感じ、怖くて足が出なくなることもあります。
自宅リハビリを始める前の安全チェック
自宅でリハビリを行う際は、何よりも安全が最優先です。転倒して怪我をしては元も子もありません。以下のポイントを必ず守ってください。
- 体調が良い時に行う
- 痛みがある場合は無理をしない
- 必ず手すりや壁、安定した椅子の近くで行う
- 滑りやすい靴下は履かず、裸足か滑り止め付きの靴下で行う
実践!階段を楽にする太ももの引き上げ運動
まずは、階段でつまずかないように足を高く上げる筋肉(腸腰筋)を鍛えます。椅子に座って行うので転倒のリスクがなく安全です。
具体的な手順
- 椅子に深く座り、背筋を伸ばします。両手で椅子の座面を持ち、体を安定させます。
- 片足の膝を曲げたまま、胸に近づけるように高く持ち上げます。
- 限界まで上げたら、ゆっくりと下ろします。
- 左右交互に10回ずつ行います。
ポイントは、背中が丸まらないようにすることです。足の付け根(股関節)を意識して、しっかりと引き上げましょう。

実践!段差を押し上げる力をつける椅子スクワット
次に、体を上の段へと持ち上げるパワーをつける運動です。椅子を使ったスクワットなら、膝への負担を減らしながら太ももとお尻を効率よく鍛えられます。
具体的な手順
- 椅子の前に立ち、足は肩幅より少し広めに開きます。
- お尻を後ろに引き、椅子に座る動作をゆっくり行います。
- お尻が座面に触れるか触れないかのところで止め、太ももの力で立ち上がります。
- 10回を目安に行います。不安な方は完全に座ってから立ち上がる立ち座り運動でも十分効果があります。

実践!階段の1段目を使った安全な昇降練習
筋力がついてきたら、実際の階段の1段目(または安定した踏み台)を使って、昇り降りの感覚を掴む練習をしましょう。必ず手すりや壁を持って行ってください。
具体的な手順
- 階段の下に立ち、手すりをしっかり持ちます。
- 右足を1段目に載せます。
- 左足も1段目に載せ、両足で1段目に立ちます。
- 右足を床に下ろします。
- 左足を床に下ろします。
- これを右足スタートで5回、左足スタートで5回行います。
高さに慣れ、片足で体重を支える感覚を養うことが目的です。決して急がず、イチ、ニ、サン、シとリズムを取りながら行いましょう。

脳も一緒に鍛えて転倒を予防する
階段での転倒を防ぐには、足元の注意だけでなく、同時に複数の情報を処理する脳の力が必要です。
おすすめなのは、先ほどの足踏み運動や階段昇降をしながら、計算やしりとりを行うデュアルタスクです。 例えば、階段の1段目を昇り降りしながら、100引く7は93、93引く7は86……と声に出して計算します。 運動と認知課題を組み合わせることで、脳の前頭葉が活性化され、とっさの時の反応速度やバランス能力が向上します。
まとめ:毎日の小さな積み重ねが自信に変わる
階段が登れないという悩みは、生活の質に直結する切実な問題です。しかし、焦る必要はありません。
足を高く上げる椅子運動 体を持ち上げる椅子スクワット 手すりを使った1段昇降
これらの自宅リハビリをコツコツ続けることで、足腰は必ず応えてくれます。 まずは1日1回、できることから始めてみましょう。
もし、自分一人でのリハビリに不安がある、専門家に見守ってもらいながら安全に進めたいという方は、オンラインの健康サービスを活用するのもおすすめです。 脳ニモでは専門トレーナーが、あなたの体の状態に合わせた無理のないプランを提案します。まずは無料カウンセリングで、お体の悩みを聞かせてください。





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